特集 平成28年熊本地震その後 阿蘇編

2016.06.01作成

 
  すでにご承知の通り、4月14日午後9時26分(前震)とその28時間後の16日1時25分(本震)、突然の大きな揺れが熊本県を襲
 いました。 私の住む荒尾市は前震が震度4、本震は震度5弱でしたが、それでも私の生涯の中で経験したことのない揺れでした。
 
  最大震度は、熊本市のベッドタウンとして発展している上益城郡益城町で震度7を前震と本震の2回観測、隣の阿蘇郡西原村で
 も本震で震度7を観測するという、類稀なる大地震でした。
 
  ここにこの地震により犠牲になられました多くの方々に心よりのお悔やみを申し上げますと共に、いまだ避難生活を続けられてい
 る数多くの方々をはじめ被害を受けられた方々に1日も早い復興の日が訪れますようお祈り申し上げます。
 
  このように甚大な被害をもたらした震災ですが、幸いにも私の家では大した被害はありませんでした。 ただ、熊本市中央区のマ
 ンションに住む娘は暫く車中泊を強いられ、私も水や簡単な食料などの差し入れに数回足を運びましたが、その時に見た熊本市内
 は、あちらこちらで建物が壊れ、道路が通行止めになっていたりと、いつも見慣れた光景ではなくなっていました。
 
  地震発生から1ヶ月半が過ぎ、娘も少しづつ以前の生活を取り戻しているようですが、応急危険度判定で黄色のステッカーを貼ら
 れたマンションの補修もいまだ手つかずのようで、ずいぶん減ってきたとはいえ、時折起こる余震のたびに不安な思いをしているよ
 うです。
 
  そんな中ではありますが、このHPでは何度も言っていますように、若いころ阿蘇と熊本城を拠点に観光写真の仕事をしていた私
 にとって、今回の阿蘇と熊本城の甚大なる被害は非常に大きなショックで、ぜひ一度状況を確認しておきたいと思い、5月5日に阿
 蘇へ、15日には熊本城に行ってきました。
 
  まずは5日に行った阿蘇の状況をお知らせしたいと思います。すでに報道や他サイトで紹介されているもの以上のものは無いとは
 思いますが、よろしければご覧ください。
 
 
国道57号も俵山経由の県道28号も菊池阿蘇スカイ
ラインまでもが地震の被害で寸断され孤立化してい
る阿蘇。
 
今のところ熊本方面からだと北側のミルクロードか
南側のグリーンロードを使うしかない。
 
そこで今回は、
 
荒尾→植木→大津→ミルクロード経由→大観峰→
内牧→役犬原経由→阿蘇神社→箱石峠→高森→
吉田城御献上汲場→あそ望の里くぎの→免の石→
グリーンロード経由→西原→大津→植木→荒尾
 
というルートを想定して走ることにした。
 
 
8時頃に家を出たが、R57が不通のため、ミルクロー
ドは赤水へ降りる分岐点まで結構な混雑だった。
 
10時前に大観峰に到着、ここでちょっと一服。
 この日の大観峰はたいへん賑わっており、駐車場も
 満車状態だった。
 土産店やレストランは営業していたが、水道は使え
 ず、トイレや手洗いはそれぞれ汲み水が置いてあっ
 たのでそれを使ってください…とのことだった。
 
 ネットで見た4月20日前後の動画では、この先で災
 害派遣の自衛隊がキャンプを張っていたが、この日
 はそれらしい姿はなかった。(阿蘇周辺では幾度と
 なく自衛隊の車両とはすれ違ったが、大観峰に集結
 している姿は見なかった。)
大観峰を後にし、内牧から県道110号線で一の宮へ。
 
阿蘇神社の駐車場に着いた10時40分、突然前の車
が大きく揺れたのに驚くカミさんの声と同時に、私の
車にも凄い振動が… この日何度目かの余震で、後
で地震情報で調べたらでは震源地は阿蘇、震度4と
いうことだった。まだ(5月5日時点で)このクラスの余
震が頻繁に起きているのを目の当たりにした瞬間だっ
た。
 
写真は4月16日の本震で倒壊した阿蘇神社の楼門。
(国指定重要文化財)
 
すでにきれいに囲いで覆われ、仮参拝所が作ってあっ
た。
 新しく作られた仮参拝所。ここから倒壊した楼門の
 正面が見える。
 お賽銭箱の両脇にはお御籤などのほかに復旧の
 奉賛金のお願いもあった。
楼門から境内には入れないので、楼門前の参道脇
から境内に入った。
 
境内北側から見た楼門。これは二階部分の大屋根。
ちなみに正面の仮参拝所から見えているのは一階
部分の屋根になる。
 境内南側から見た楼門。
 壊れた重要文化財を再建するには元の部材を使う
 ことが前提となっているため、損壊した部分にはブ
 ルーシートを張って保護してあった。
こちらも本震で倒壊した拝殿。
この建物は重要文化財ではないため、破損部分も
そのままだった。
 阿蘇神社の主祭神、健磐龍命(たけいわたつのみ
 こと…阿蘇開拓の神)を祀る一の神殿。
 
 このほかに二の神殿、三の神殿があるが、どれも
 倒壊は免れたものの、かなりな被害を受けている
 らしい。(これらの建物はすべて重要文化財)
駐車場内の土産物店が臨時の御神札授与所になっ
ていた。
 
このあと、根子岳の東側を回って毎月通う水汲み場
がどうなっているか、見に行った。
 南阿蘇村にある吉田城御献上汲場。
 南阿蘇村は今回の地震で被害の大きかったとこ
 ろのひとつだが、ここ吉田地区は立野、河陽地区
 程の被害はなかったようで、水源も底の砂利に掻
 き回され感はあったが、以前の通り綺麗な水を湧
 出し続けていた。
吉田城御献上汲場の後に立ち寄った道の駅「あそ望
の里くぎの」。
ここで弁当などを買い込み、付近の展望所で少し遅
めの昼食をとることに…
 
ガーデンテラスの前の広場には子供の日らしく鯉の
ぼりが…
 「あそ望の里くぎの」の駐車場から南外輪山を見る。
 こちらにも鯉のぼりが泳ぎ、その下にはこの時点で
 数張残っていた避難所のテント村が見えている。
 
 このあと、展望所で昼食を済ませ、南外輪にある
 「免の石」へ。
落ちそうで落ちない石というので人気のスポットに
なっているというのは以前に新聞で見たけど、結構
な山登りをしなければ行けないと思っていたので、
今までスルーしていたが、今回、展望台までなら車
でも行けるということを動画サイトで知り、行ってみる
ことに…。
 
ここがその展望台「鳥の小塚公園」の入り口。
結構綺麗に整備されている。
 入り口から少し入った高台に展望台があった。
展望台から見た「免の石」。
 
あの岩山の間隙に挟まった大きな石が「落ちそうで
落ちない石」として受験生などを中心に大人気となっ
ていたそうだが…。
 
今回の地震で落ちてしまって、今はその姿を見るこ
とはできない。
 上の写真のアップ。
 少し隙間が狭くなっているところに石が挟まってい
 た。
ネットで見つけた落ちる前の「免の石」。
こんなふうに石が引っ掛かっていた。
 
そばまで行ってみることもできるが、それには結構
な山登りが必要で、ガイドさんに案内を請わなけれ
ば行けなかったらしい。
 展望所にあった案内板。
 この展望所は地域の方々が整備されたらしい。
展望所から見た阿蘇の山並み。
正面が烏帽子岳だが、地震による崖崩れの跡があ
ちこちに…
展望所から立野方面を見ると、国道57号と阿蘇大橋
を飲み込んだ巨大な崖崩れの跡が…。
 
この一帯には被害の大きかった東海大学関連の施
設もあり、かなりの方々が被災され、今も避難生活
を送られている。
 
ありきたりな言葉で恐縮だが、一日も早い復興を祈
らずにはいられない。
 
 
 
  若いころから幾度となく通って思い入れも愛着もある阿蘇のあまりの変わりよう、自然の恐ろしさにただ、唖然とするばかりです
 が、観光地の店舗や宿泊施設が営業を再開するところが出、農家の方も田植えを始めるところが出るなど、地元の方々の手で確
 実に復旧は始まっています。
 
  今は大動脈である国道57号線や阿蘇大橋が崩落してしまっているので、ミルクロードやグリーンロードを迂回しなければならず、
 また中岳や草千里に向かう登山道も被害を受け通行止めのため、山に登ることもできず、観光客の足も遠のいていると思いますの
 で、余震もずいぶん減ってきたことでもありますし、国や県には一日も早い交通インフラの整備をお願いしたいと思います。
 
  避難生活を送られている方々にはこれからの梅雨に向けて、なかなか進まない仮設住宅への入居をはじめ、不安で一杯だと思
 います。関係各自治体などの精一杯やっておられる状況もわかりますが、なお一層のサポートをお願いするばかりです。
 

 
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