坑内電車 その2
2000.7.16.作成
8トン電車は、各種材料やボタ等の運搬に活躍していました(三川、有明では人車も引い ていた)。この電車は26t電車と違い、エアーコンプレッサーを装備していなかったのでエ アーブレーキが使えず、通常時のブレーキは手動の手回し式のブレーキで、非常用として トラックブレーキと電気ブレーキが付いていました。(電気ブレーキとは、モーターへの通電 を切り、モーターを発電機として働かせることにより、電気的に制動力が得られる方法。発 電ブレーキとも言う。) BLには4tBLと6tBLがあり、能力の違いはあるもののそれぞれ切羽近くの坑道で材料な どの運搬に活躍していました。 BLはトロリー電車と違い充電が必要で、充電所には予備 の電池と電池の載せ替え用のエアーブロック(吊り上げ装置)があり、1台の電池は原則と して1方(8時間)充電2方使用が決まりでした。 この電池は自動車用のバッテリーよりも 2周り以上大きい電池(電圧は2V)を48個直列につなぎ、防爆型のケースに収めたもので 電圧は96Vですが、重量は数百`ありました。 これらの電車を運転するには当然免許が必要で、「機関車有資格」という免許を受ける と坑内では全ての電車に乗ることが出来ました (運搬係以外で資格を持っている人は、 まずBLだけしか運転しなかったでしょうが…)。 私もこの資格を持っていて、修理後の試 運転で26t電車を運転するのが大好きでした(まるで子供ですが…)。 |
三川鉱で使用されていたと思われる8t電車。 パンタグラフは上部木製で、集電部分(スライダー)はカーボン製。 規定凾数が30凾になっているが、これは26t電車の5立方m炭凾と違い、2立方m炭凾。 8t電車には東芝製と三作(三井三池製作所)製があったがこれは三作製。 |
この車体色は四山鉱で使用された電車と思われる。 上の8t電車と同じ三作製だが、これはパンタグラフが無く、トロリーポールが付いている。 (車体上の木の棒みたいなもの) 四山鉱の600メートル坑道ではポール式の電車を使って いたのでその中の1台と思われる。 |
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バッテリーロコ(BL) 「AB」という型番は有明鉱で使用されたもの。 大きさから6tBLと思う。下の部分が電車本体で、 上に載っている「AB‐23」という型番が付いているのが電池。 |
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上と同じBLを横から見る。 右側に運転席と電車と電池をつなぐ2本(赤と緑)のケーブルが見える。 |
この他にも架線式の電車には、8t電車にエアーコンプレッサーを積んでエアーブレーキ を装備した10t電車、三作製8t電車を2両使用して26t電車のように三作で改造した 24t 重連電車等がありましたが、今回はその姿を見ることは出来ませんでした(恐らくもう無い でしょうねぇ〜)。 私たちのように愛着を込めて整備をしていた者にとっては、この様に放置されているこ れらの電車を見ているとなんとも悲しく、残念でなりません。石炭産業科学館のダイナミッ クトンネル内に展示されている26t電車もA1車だけで完全でない物ですから、これらの電 車類を屋外展示でも良いですから、何とか保存展示して欲しいと思います。 もし修復保存されるようでしたら、修復工事にはボランティアでもぜひ参加したい(会社 が休みの日ならば…ですが)と、それほど修復保存を願うNontaでした。 |